■この話は、ぜひとも若い新卒の方々に伝えたい。
実際にあった話だ。
こうすれば、最高だよ。という例ではなく、
これをすると最低だよ。という悪い例だ。
■私は仙台出身。
3.11も経験している。
未曾有の震災と呼ぶにふさわしい、
凄まじい光景を目にした。
消えることがないと思っていたコンビニの光が消え、
仙台のネオン街も暗黒世界と化した。
ガスはとまり、水もとまり、
食料もいつ来るかわからない。
日々減る、水と食料の不安と戦う毎日。
■人々はいつ開くかもわからない
スーパーやコンビ二に押しかけ、駐車場に待機している。
そんなときだ、
私は最低のスーパーをみた。
そのスーパーは山形に本社をおく東北では有名なチェーン店なのだが
なんと、通常400円~500円で販売されている弁当が、
震災時は1,000円を超えている。中身の内容は同じだ。
水に関しては一本100円以下の2ℓのペットボトルが500円。
被災して困っている人々はもちろんそれでも買う。
命にかかわる問題なのだから、買わざるを得ないのだ。
■私は震災後、6年以上経つが、
そのスーパーでは1円も買い物をしていない。
顧客の傷口に塩をぬる。いや、傷口にからしをぬるような行為を、
私は商売人のはしくれとして絶対に許すわけにはいかないからだ。
確かに、価格というのは相場で決まるものだ。
したがって、あの時の需要は
あの時期なりの相場を表し、弁当1,000円超という数字になった。
だから仕方ないのでは?
という声が聞こえてきそうだが、
そういう人に逆に聞きたい。
■あの時、本当に多くのボランティアが助けてくれた。
ボラティアは一般人で関東、関西、
九州から駆け付け、我々を助けてくれた。
当然無償だ。
直接的に関係のない、ほかの地域の人々が
助けてくれたのにもかかわらず、
地元の大手企業であるはずの
このスーパーは何をしているであろうか?
スーパーの開店を今か今かと
駐車場で列を作っていた人々は、
今まで消費者として利益に貢献してくれていた
人々ではないのだろうか?
私に言わせると、これは恩人に対する、不義理なのだ。
■ちなみに、こんな企業と比較するのも申し訳ないほど、
立派なスーパーがある。
仙台に8店舗を展開するイトーチェーン(泉店)だ。
このスーパーは震災以前から地元の有力企業として
他県から視察が訪れるほどの、地元では支持が高いスーパーだが、
ここの泉店の店長(当時)の対応が素晴らしい。
なんと、ここの店は、震災の次の日には店をオープンさせた。
(店員も被災者にもかかわらず、地元の人のためにオープンさせたのだ)
価格も通常。それどころか、
一部を無償でサービスしたという噂があるぐらいだ。
震災から復活したあとの、東北最強の激戦区、仙台市においても
有力スーパーとしての立ち位置をしっかりと確立している。
当然だろう、顧客のために存在しているスーパーなのだから。
■これは営業職で人でなくても、覚えていてほしい。
我々は地域社会の人々によって、活かされている。
その地域社会の人に、不義理をしてはならない。
なぜなら、この不義理をしたスーパーは、
震災需要がひと段落した後に、売上が激減したのだ。
人の足元を見るだけならまだしも、
足元をすくいあげるような行為は、
天にむかって唾をはくようなもので、
そのまま自分に跳ね返ってくる。
迷ったら信頼を。これが社会人の鉄則だ。
今日も新卒営業マンにエールを。