■新卒の営業マンに伝える。
人の悪口をやめよう。
これは何も、ただきれいごとで言っているのではない。
あなたのためにいうのだ。
■昔、東北地方で食品の卸売業をいとなむ、
とある中小企業に勤めていた時期がある。
そのときの社長がこんなことを言っていた。
「いやぁ、おれも若いころは、悪いことをしても、なんとも思わなかった。
ところが、最近この年(70歳)になってようやくわかったことがある。
悪いことをすると、必ず自分に返ってくる。」
■わたしは当時20代前半だったが、
この話を聞いて、こんな社長になるのは嫌だなと思った。
そんな当たり前のことを70になってようやく気付いたのかと、
申し訳ないが、心の中で思った。
ところが、私もあれから年をとり、あることに気付く。
世の中、意外にも
そのことに気付いていない人が多いもんだと。
■話を戻すが、はっきり言おう。
この社長は、気づくのは遅かったかもしれないが、正しいことに気付いたと思う。
世の中では、悪いことは、かならず自分に返ってくるのだ。
もっともわかりやすい例が、冒頭にのべた、「人の悪口」であろう。
■あのデール・カーネギーの名著、
「人を動かす」(創元社)で、カーネギーはこう断じている。
悪口をいうことは、天にむかって唾を吐く行為に等しい。
必ず自分に返ってくる。
カーネギーの言うとおり、悪口というのは、本当に自分に返ってくる。
相手がいなくても、悪口を言い続けると、いつか、その人に耳に入ることになる。
ここでのポイントは、「言い続ける」ということがポイントだ。
続けることで、悪さのポイントのようなものが蓄積され、容器に収まらなくなったネガティブなエネルギーがいつか爆発を引き起こすことになる。
それは直接的な反撃や、陰湿ないやがらせ、
とにかく、あなたの障害となって、立ちふさがるであろう。
■実際に私はそれで、
会社を退職に追い込まれたある優秀な人材を知っている。
その人材は以前、ある大型プロジェクトを任されていたリーダーだった。
高いスキルと、高い交渉力。
そして、野心家だった。
ところが、部下の信頼が全く得られなかった。
なぜか?
その人は、目の前にいない部下の悪口をずっと言い続ける、
一種の病気のようなものにかかっていた。
目の前にいない部下の悪口をいい続ければ、馬鹿でもわかる。
「あぁ、この人は俺がいないときは俺を悪く言ってんだろうな」
実際にその通りだった。
■その野心あふれるリーダーはさらなる上の役職につけるように
幹部にかけあった。
ところが、却下された。
部下やまわりの信頼が0だったからだ。
そして、幹部はいった。
「その悪口をいう癖をなおせば、役職をあたえよう」
そして、リーダーは何と言ったと思うだろうか?
「それはできません。」
なんということだろう。
おれは悪口をいうのをやめられないと、公言してしまったのだ。
■この一件で幹部の信頼すら失ったこのリーダーは、
結局プロジェクトの縮小のタイミングで、
会社で居場所をなくし、会社を去っていった。
ここで私からはっきり断言できるのは、
このような病気にかかった人間は、次の会社でも同じことをする。必ずする。
そして、また部下やまわりの信頼を失うだろう。
高いスキル、交渉力、そして野心。
この病気さえなければ、と思うと惜しい人材だった。
新卒の皆さんには絶対にまねしてほしくない。
本当にあった実例を紹介した。
こんな愚かな社会人にはならないでほしい。
今日も新卒の営業マンにエールを。