藤井孝一さんのパーソナルブランディング秘話(1)



様々な業界で、自分ブランドを確立している著名人にご自身のパーソナルブランディングについてインタビューする『あの人のパーソナルブランディング成功秘話』。

今回は、「週末起業」でおなじみの藤井 孝一(ふじい こういち)さんに、自分のブランドを確立するにあたり、考えたこと、実行したこと等のブランディングストーリーについてお伺いしました。
藤井さんが「『週末起業』と言えば藤井孝一」という自分ブランドを確立できた秘訣はいったい何なのでしょうか。

藤井孝一さんのプロフィール
慶應義塾大学文学部を卒業後、大手金融機関でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティングを開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現、週末起業実践会)」を設立。会社を辞めずに起業する-この魅惑的なワークスタイルを「週末起業」と名付け、全国のビジネスパーソンにお勧めすることをライフワークに奮闘中。書籍『週末起業』(筑摩書房)の著者。また、お勧めのビジネス書を要約して紹介するメルマガ『ビジネス選書&サマリー』の発行人。
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ポジショニングはお客さんに選んでもらう

-「週末起業といえば藤井孝一さん」ですが、そもそも週末起業を専門にしようと思ったきっかけを教えてください。

実は、自分でビジネスを始めるにあたって、最初からこれをやると言うのはなかったんですよ。独立志望があってコンサルタントとして独立したいなと思っていて、いろいろ看板を掲げてみたところ、週末起業が一番うけがよかった、評判が良かったっていうのがきっかけです。

-最初から週末起業を専門にしようと考えていたわけではないんですね。週末起業の専門家にいきつくまでに、どのような経緯があったんですか?

サラリーマン時代に中小企業診断士の資格を取ったので、それで独立をしたいと思っていたんです。
ただ当時20代だったんですが、この世界ってコンサルタントの大先輩がひしめく中で、20代ではクライアントの中小企業の経営者からは相手にしてもらえないですよ。
だからできるとしたら起業関係なんです。当時ITとかもまだ普及してなかったので、ホームページのコンサルタントなんかもやりました。あとは本が好きなので書店コンサルタントとかもやりましたね。他にもアメリカに行ったことがあったことから、日本とアメリカとの橋渡しのビジネスのコンサルタントとか、ほんとできることはありとあらゆることを試してみました。

-やはり藤井さんでも試行錯誤の時期があったんですね。皆さん絞ることは大事だってわかってると思うんですけど、悩む人が多いかなと感じています。藤井さんはなぜ週末起業に絞ることができたんですか?

それは悩むしかないですね。僕も悩みました。
ただ、何で悩むかって言うと、自分で考えるから決められないんですよ。お客さんに会ってお客さんに選んでもらえばいいんです。
そのときのヒントとしては、自分で悶々と考えても答えが出ないから、客観的な意見を得るために、いろんな人に会う。
僕の場合は、自分の中でコンテストをやって、どれが一番人気があるかを見たりもしました。
当時は看板もいくつか持っていて、それぞれ肩書と名刺を持っていました。交流会などで名刺交換をする際には、一番受けの良さそうなものをその場その場で出して選んで出していました。
ここは起業家が集まりそうだと思うときには、起業支援の名刺を出す。中小企業の集まりに行ったら、そこで「起業しませんか?」って言っても、しょうがないのでホームページのコンサルティングをやっていますと話したり。
なので、名刺も5種類か6種類持っていましたね。その中でどの肩書のウケがよいか見たりしていました。

あとは、専門家に頼むことや第三者にアドバイスをもらうっていうことも有効だったと思います。
僕の場合はコーチを雇っていたので、コーチから自分の考えを気付かせてもらいました。
いずれにせよ、あんまり一人で考えない方がいいと思いますね。
考えるのを考えるんだけど、走りながら考えるというのも大事なファクターかもしれません

わかりやすいネーミングで差別化が図れた

-他の人と差別化できた要因は何だと思いますか?

絞り込んだことと、ネーミングをつけたことですね。

差別化をどうするかっていったときに、ニッチもしくはできるだけやることを絞り込んだ方がいいなって考えたんですよ。
それは僕自身が中小企業診断士とか書店コンサルとかアメリカ流通コンサルとかホームページコンサルとかいろいろ悩んで苦労してきたので、そこで学んだことなんです。
書店コンサルをやりながらアメリカ流通コンサルとかやってるっておかしいじゃないですか。
他の人が聞いたら、「なんなんだ、こいつは?」って思いますよね。
よく言うんですよね、何でもできますは何もできないのと一緒だって。本当にそうだと思いますよ。
よく独立したばっかりの人は、「なんでもできます」って言っちゃうんですよ。ただクライアント側からしてみると、なんでもできますって言われても何も頼めないですよね。

コンサルタントで独立してる人にはおすすめしてるんですけど、同業者との交流会に行った時にどういう風に自己紹介するんですかって聞くんですよ。
よく「私は中小企業診断士です」とか「私は税理士です」とか「私はIT情報処理技術者です」とか言うじゃないですか。ただ同業者との交流会に行くと、みんな中小企業診断士じゃないですか。全然差別化になってないでしょ。その同業者の会に行った時に自分はこういう人間だとあなたとは違う人間ですよ、っていうのを考えてくださいっていうアドバイスをするんです。

-同業者の中でどう自己紹介するかというトレーニングは、おもしろいですね。ただ、起業のコンサルタントもたくさんいますよね。

おっしゃる通り起業に絞ったとしても起業のコンサルなんていくらでもいるんです。若い人はみんな起業のコンサルをやっているので、どうしようかなと思った時に、会社にいる時からお手伝いする週末起業を専門にしようと思ったんです。ただよく考えてみたら、起業のコンサルって言ったら週末起業に決まってるんですよね。独立する前の人達が対象なので当たり前のこと言ってるだけなんですけど、ただ「週末起業」というネーミングをつけたことで、わかりやすくなったことがよかったと思ってます。
わかりやすさ、というのは非常に大事です。
中小企業診断士の業界で独立しようと思ってもがいてた時にわかりやすさっていうのは一番大事だっていうのを学んだんですよね。
独立したくて千枚の名刺を集めようと思って交流会に参加したんですけど、全然覚えてもらえないんですよ。なので、できるだけそういうところで覚えてもらうためにはどうしたらいいかって考えたときに、週末起業みたいなネーミングを考えたり、ロゴを工夫しました。

-なるほど。週末起業というネーミングはキャッチーですし、わかりやすいですよね。そもそも週末起業っていう言葉をどうやって思いついたんですか?

最初は週末起業ではなく、週末ベンチャーって言ってたんです。当時ベンチャー企業、それこそ楽天とかソフトバンク等のIT系のベンチャー企業がばんばん出てきていたんですね。IT系の企業のマーケットが大きかったんです。
たださすがにあの手の規模のコンサルって荷が重いのでベンチャーキャピタルとかもいるし、個人でできるとしたら本当にもうちょっと規模の小さいこれからの人達かなって思って週末ベンチャーって言ってたんです。
それで雑誌の連載とかも書かせてもらったりしてたんですよ。ところが当時ITバブルがはじけちゃって、「ベンチャーって響きがあんまりよくないよね」って雑誌社の人に言われて、どうしようかって思った時に「じゃあ起業にしましょう」って言うそういう軽いノリで作ったんですよね。

出版で肝が据わりマーケットがあることを確信できた

-ネーミングの考案でも編集者という第三者のアドバイスも有効だったんですね。1人で悶々としないことですね。差別化という視点では、出版も大きな要因でしょうか。

書籍を出版したことは自分にとって大きな転機でした。
私には、師匠がいて彼のところで学んでいて、その師匠が「本を出せ」って言ったんですよね。僕は、専門性の高い専門家が本を出すものだと思ってました。けど、師匠が「専門性がないから本を出すんだ」って言ったんです。本を書くことによって勉強するし、調べるし、人に会ったりするじゃないですか。そうすると事例が蓄積される。すると、自分のコンセプトが固まってくるから、「知名度のない人こそ本を書くんだ」と言われました。
本を出そうと思ったのも週末起業で行こうって腹をくくったきっかけですね。本を出すって大変なんで。8万字ぐらいあるんで原稿用紙200枚じゃないですか。そんなの書いたことないし、すごいエネルギーを費やしたので、ここまでやったらこれでいくしかないなって腹をくくりました。

-ということは本を出すって決めた段階では何でビジネスを進めていくかについて、まだ迷いがあったんですね。

そうですね、まだ迷いがありましたね。週末起業でやっていけるんだろうかとか、週末起業は受けるんだろうかとか。
ただ後からわかったことですが、本を出すということ自体、自分だけが思ってるだけではなくて、少なくとも出版社の編集会議を通らないと本を出せないので、出版社の評価を得ているということなんですよね。彼らはマーケットに目を光らせてるので、その人たちがOKを出したということはお墨付きを得られたってことかなと。
実際出してみたら反響がよかったので、これは一定のマーケット・市場があるっていう確認が得られましたね。

次回は、どのように藤井孝一という専門家をどのように伝えていったかについて直撃しています。

藤井孝一氏のパーソナルブランディング秘話(2)
「週末起業」でおなじみの藤井 孝一(ふじい こういち)さんに、自分のブランドを確立するにあたり、考えたこと、実行したこと等のブランディングストーリーについてお伺いしました。第2回は、自分ブランドをどのように伝えていったかについて伺っています。
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