マーケティングリサーチを身近な事象で置き換えてみるとよくわかります
仕事柄、私はよくマーケティングリサーチのというものを全く知らない人達の前で講演をさせていただく機会が多いのですが、そういった方々へ『マーケティングリサーチとは何か?』を話す時いつも病院のお見舞いに例えています。
2005年の秋、私は『ラムゼィハント症候群』という病気になり3週間ほど入院をした経験があります。
簡単に言えば「顔面神経麻痺」の一種で、顔の右半分が急に動かなくなるという何とも奇妙な病気です。
どうやら仕事のストレスが原因らしいのですが、ただ、顔が動かないだけで体はピンピンしており、手術の必要はないので、ただベッドの上で毎日点滴を受けるという何とも退屈な時間を過ごしていました。
その時にある友人からもらったお見舞いが一番記憶に残っています。
『みんなのゴルフ』という当時人気だったPSP(プレイステーションポータブル)のゲームソフトでした。
友達数名でお金を出し合って買ったとのことです。
顔の半分が動かないだけで手足は至って正常。
ベッドの上でただ暇を持て余していた私の喜びは相当のものでした。
当時ゴルフは大好きでしたし。
一方、他にも大勢の友人が来てくれたのですが、みんなが持ってきたのはゼリーの詰合せや菓子折などの食べ物類でした。
しかしこれらの食べ物、実はほとんど食べず、お見舞いに来てくれた他の人たちにあげてしまいました。
(わざわざ買ってきてくれた友人の皆さん、大変申し訳ないです。)
顔面神経麻痺になった事がある方はご存知と思いますが、この病気は口を動かすのが結構大変で特に飲んだり食べたりするのに苦労するのですよね。
まず、麻痺している間はストローでジュースを飲むことができません。
口が動かないので空気が漏れてしまうのです。
またせんべいなども、食べるとボロボロこぼしてしまいます。
味噌汁もお椀を手に持って飲もうとするとダラーッとこぼしてしまうのです。
ですから、そんな状態で食べ物をもらっても実は困るのです。
ただ、折角持ってきてくれた友人にそんな不満を伝える事はしませんでしたが・・・
しかし、そのPSPをくれた友達だけはその事をきちんと察してくれていたのです。
なぜなら病院へお見舞いに行く数日前に私の家に電話をかけ、妻に私の容態を詳しく聞き込んでいたんですね。
『今、どんな状態なんですか?』
『会話とかはできるんですか?』
『飲んだり食べたりはできますか?』
などなど。
また、既にお見舞いに行った知り合いにも探りを入れて何をプレゼントに持って行けばよいかを考えたみたいです。
さて、ここが超重要なポイントです。
なぜ彼だけ、喜ばれるプレゼントを用意できたのか?
それは『プレゼントを贈る人の情報』をきちんと把握したからです。
今その人を取り巻く状況、心境、他の人のお見舞いの品・・・
これらの情報を徹底的に調べたんですよね。
『そりゃ、友人が入院したら、どんな容体なのかをきちんと事前に情報収集するよ!』と思うかもしれませんが、ご自身の商売においてはいかがでしょうか?
ビジネスにおいても本質は同じであり、綺麗事のようですが、常に相手が今何を求めているのかをきちんと情報収集して、それに基づいてアクションすれば、おのずと結果はついてくるはずなんですよね。
『お客様の情報を知る』為の手段=「マーケティングリサーチ」
要するにビジネスであれば、
『何をすればお客様が自然と「それ欲しい!」と言ってくれるか?』
という事を入念に考えるということです。
その為にはみんなのゴルフをくれた友人がやったように、『お客様の情報を知る』事が絶対必要なんですね。
そして、その『お客様の情報を知る』為の手段が「マーケティングリサーチ」という事になります。
是非、自分のビジネスを更に前進させていく為に、お客様をもっと知る活動をしていただければと思います。
次回以降は、マーケティングリサーチの具体的な取組方法をご紹介します。