ブランド、ブランディング、パーソナルブランディングとは

今回は、パーソナルブランディングについて正しく理解していく事から始めていきましょう。
その前に、”ブランド”、”ブランディング”という言葉について考えましょう。

というのは、”ブランド”と一口に言っても、人によって認識が違います。
高級ブランドをイメージする人もいますし、ファッションブランドをイメージする人もいます。
企業のマーケティング関係の部署で仕事をしている人は、商品やサービスの個々の名称をブランドと考える人もいます。(例えば、キリンの社内の方でしたら、コーヒーブランドのファイアや紅茶ブランドの午後の紅茶の名称をブランドと言っています。)
また商標関係の仕事をしている人は、商標のことをブランドだと考える人もいます。

言葉の定義が曖昧だと、認識に齟齬が生じることが懸念されます。
「どうやってパーソナルブランディングをしていけばいいのか」というのを正しく理解していただくためにも、ご一読ください。

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ブランドとは

まず、”ブランド”について考え、定義していきたいと思います。

アメリカ・マーケティング協会(AMA)、”ブランド”の定義は、以下のとおりです。

個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ、競合他社の商品やサービスから差別化するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたもの。

つまり、ブランドとは「他社と自社との商品あるいはサービスを識別させるもの」を指します。
これは、ブランドの由来である、家畜の識別のために「焼印を押す(brand)」ことにあると言われています。

ただ、私たちが一般的に「ブランド」と呼ぶものは、ちょっと認識が違いますよね。
私たちが「ブランド」と読んでいるのは、銀座・並木通りに店舗を構えるような高級ファッションブランドだったり、Apple社であったり、ハーレーダビッドソン社であったり、「このブランドだから選ぶ」という何か特殊な力を持っているものだと思います。

実際、ブランド、ブランディング、戦略的ブランドマネジメントの研究において、国際的なリーダーの1人として知られる、ケラー教授は、著書「戦略的ブランド・マネジメント」において、 アメリカ・マーケティング協会によるブランドの定義を引用したうえで、

実務に携わる多くのマネジャーはそれ以上のもの、すなわち市場に一定の認知、評判、存在感などを生み出したものをブランドと呼ぶ。
(中略)
ブランドとは、単なる製品ではない。なぜならブランドは、同じニーズを満たすように設計された製品間に何らかの差物化要因をもたらすからだ。その差別化要因は合理的で有形のもの(ブランドの製品パフォーマンスに関連したもの)もあれば、象徴的、情緒的、無形のもの(ブランドがあらわすものに関連したもの)もある。
(中略)
差異は、当該ブランドのために行った過去のマーケティング活動の結果、製品に与えられた「付加価値」から生じる。

としており、ブランドが単なる名称、言葉、記号、シンボル、デザインではなく、市場に一定の認知、評判、存在感などを生み出したもの、かつ、何らかの差別化要因をもつもの、かつ過去からのマーケティング活動の結果得られた「付加価値」をもつものとしています。

つまり、ブランドとは、「顧客にとって特別な価値を持つもの」です。
言い換えると、「〇〇だったら、△△ だよね」と頭に浮かぶもの、「△△だから購入するもの」、それがブランドです。

かつて日立とGEは、イギリスに工場を共同所有し、その工場では同じテレビを製造して両社に供給していました。
唯一の違いは、テレビに付けられたブランド名だけで、かたや「日立」、もう片方は「GE」でした。
にもかかわらず、日立のテレビは、GEのテレビよりも75ドル高く売れました。しかも日立のテレビの方が価格が高いのに、GEのテレビの2倍も多く売れたのです。

まさに、消費者は、「日立だから」購入していたわけです。
これまでの活動の中で、日立が信頼を築いて、日立に愛着があるから、日立のテレビを選ぶわけです。
つまり機能やデザインといった細部だけで選ばれるのではなくて、「○○だから」選ばれるようになるということです。

これを見ていただければわかるように、いわゆる高級ブランドに限らず、一般消費財であってもブランドになります。

例えば、「掃除機だったらダイソンだよね」とか、「ボディソープだったら、ダヴだよね」とか、消費行動においてほかの選択肢ではなく、無意識に選ばれるもの、それがブランドです。

また、ダイソンは選ばない、ダヴは選ばない、という方もいると思いますが、ダイソンやダヴがその人にとってのブランドではないからです。

ここで、重要なのは、ブランドとは、お客さんの頭に思い浮かぶものなのです
自分で宣言したからといって構築できるものではありません。

商品・サービス・広告・店舗・評判など(つまりはタッチポイント)と接触した結果、消費者の心(頭)の中に思い浮かぶ、その会社や商品・サービスに対する、ブランド連想(知識、体験、印象、感情)の集合体」であるといえます。

※ちなみに、ケラー教授は、ある製品を特定し別の製品と識別する名前、ロゴ、シンボル、パッケージ・デザイン、あるいはその他の標識等のブランドを識別し区別する、これらの構成要素を「ブランド要素」と呼び、ブランドを創造する鍵となるのが、ブランド要素である、と言っています。

ブランディングとは、

ブランドになるための活動です。
つまり、「顧客にとって特別な価値を持つもの」にするための活動です。

先ほど、「ブランドとは、お客さんの頭に思い浮かぶものなのです」とお伝えしました。
ブランディングとは、ブランドになるための活動を行う=頭の中に思い浮かぶ状態にするための活動です。

自分で宣言するだけでは、ブランドになりえないのです。
では、どうするのか。「選ばれる続ける必然」の表現がわかりやすいので、引用します。

ブランディングを「BRAND」と「ING」の2つの要素に分解しています。「BRAND」では、「あるべき姿を想定して、カタチにする」ことを行います。自分達の会社や商品はどのような価値を提供できるのかをしっかり固めてあるべき姿を明確にする。そしてそれをスローガンやロゴなど、言葉や視覚カタチにするのです。「ING」では、「あるべき姿をあらゆる活動を通して、伝え、浸透させる」活動を行います。

つまり、ブランディング(Branding)とは、
あるべき姿を考え、カタチにする(BRAND)ことを考え、それをどう伝えるか考え、実行していく(ING)活動と言えます。

パーソナルブランディングとは

ブランド、ブランディングの意味がわかると、パーソナルブランディングもわかりやすくなると思います。
ブランドという概念を個人(自分)にあてはめたものだからです。

したがって、パーソナルブランド(自分ブランド)とは、顧客にとって特別な価値を持つ人、言い換えると「〇〇だったら、△△(あなたの名前)だよね」って言われる人、ということです。

パーソナルブランディングとは、顧客にとって特別な価値を持つ人になること、つまり、「〇〇だったら、△△(あなたの名前)だよね」って、言われるようになるように、ことです。
そのために、自分のあるべき姿を考え、カタチにする(BRAND)ことを考え、それをどう伝えるか考え、実行していく(ING)活動です。

まとめ

ブランドとは、「顧客にとって特別な価値を持つもの」です。
言いかえると、「〇〇だったら、△△ だよね」と頭に浮かぶもの、つまり機能やデザインといった細部だけで選ばれるのではなくて、「○○だから」選ばれるものです。

ブランディングとは、ブランドになることです。そのために、あるべき姿を考え、カタチにする(BRAND)ことを考え、それをどう伝えるか考え、実行していく(ING)活動です。

パーソナルブランディングとは、顧客にとって特別な価値を持つ人になること、つまり、「〇〇だったら、△△(あなたの名前)だよね」って、言われるようになるように、ことです。
そのために、「自分のあるべき姿を考え、カタチにする(BRAND)ことを考え、それをどう伝えるか考え、実行していく(ING)活動です。

正しい言葉の定義を理解できたでしょうか?
今回の記事を読んで、ぜひご自身のブランディングの第一歩を踏み出してくださいね。

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