総資産と純資産の違い

ふなばし ひろゆき

不動産経営の専門家 ふなばし ひろゆき

純資産総資産

総資産と純資産は不動産投資に限らず多くの場面で登場します。これらの違いを正確に理解すれば、”真の姿”が見えてきます。不動産投資において、純資産の観点をしっかりと理解できている人は、必然的に物件の高値掴みを避けることが出来ます。

総資産とは?

保有している資産全てを指します。現金、投資信託、株式、不動産、車などが該当します。これらを足し合わせた資産を総資産と呼びます。

総資産は全く重要ではありません。「総資産が多い = お金持ち」という考え方は一切成立しません。純資産との違いがわかれば、この意味を理解出来ます。

純資産とは?

「純資産 = 総資産 – 負債」です。負債を差し引いて考える点で、総資産と意味が全く異なります。純資産こそ、保有している本当の資産になります。重要なのは純資産になります。

総資産、負債、純資産を表現する表です。この表を基準にして純資産から見える”真の姿”をケースごとに確認します。

総資産と純資産
借方 貸方
資産
(現金・有価証券・固定資産など)
負債
(ローンなど)
純資産
(真の資産)

純資産からわかる真の姿

不動産の世界では、総資産で見ると非常に多くの資産を持っているように見えても、実は超過債務であったり、純資産はほとんどなかったりするケースが多くあります。不動産を例にその流れを記載します。
①500万円の現金を持っている人が
②5000万円の物件を頭金500万で購入したと仮定し
③その純資産をチェックします

①現金のみ保有
借方 貸方
現金
500万円
純資産
500万円

現金を500万円持っている状態は負債がないので現金500万が純資産となります。

②不動産購入
借方 貸方
不動産
5000万円
ローン
4500万円
純資産
500万円

5000万円の不動産を頭金500万円で購入しているので、ローンは4500万円になります。総資産は不動産の5000万円に対し、負債であるローンが4500万円であるため、純資産は500万になります(5000万円 – 4500万円 = 500万円)。

さて、問題はこの5000万円が適切であったのか、ということです。非常に多くの方は相場観に乏しく、売却価格を意識せずに購入してしまっています。このため、5000万円で購入した不動産が本当に5000万円で売却出来れば問題ありませんが、そうでない場合が多いのが実情です。
するとどうなるのか。。。

③真の姿
借方 貸方
不動産
3800万円
ローン
4500万円
純資産
▲700万円

5000万円で買った不動産が3800万円程度でしか売却出来ないとします。すると、ローンが売却可能な物件価格を上回っており、超過債務になります。超過債務とは、純資産がマイナスであるときを指します。不動産の最大の特徴は、この状態に陥っていることに購入者は売却を検討する時に初めて気が付く事が多い事です。築年数が経てば当然資産価値自体は下がりますが、買値が高額であればその下落幅も大きくなります。結果として売却時に売却価格がローンの残債を下回るという可能性は十分に考えられます。5000万円で購入した物件の価値は5000万であると”勝手に”考えてしまっているところに落とし穴があります。この世界では、3800万円の価値しかない物件を平気で5000万円で売りつけてきます。

このような状態でも、総資産でモノを語るときは、3800万円の総資産がある、ということになります。なんとなくお金持ちに聞こえますが、実態は超過債務が700万円であり、純粋な借金を背負っていることになります。ここからもわかるように、総資産は全く無意味なのです。

両方の項目見ないと何も分からない

政治家が資産を公開していますが、あれは総資産の観点です。このため、前述した通り、「総資産が多い = お金持ち」、とはなりません。この公表自体は全くの無意味です。純資産がわからなければ、その人の本当の意味での資産を把握したことにはなりません。あのような無意味な公開をして何になるのかサッパリ理解できません。本当の意味での資産を公開させるのであれば、純資産を公開させる必要があります。総資産片方しか見ていないため、負債が分からず結果として純資産も不明です。

逆に、負債だけでもモノは語れません。時々負債ランキングのようなことをしている記事を見かけますが、これも無意味です。総資産に対する負債の比率がどの程度であり、結果としてどの程度の純資産があるのかは総資産を見ないとわかりません。負債が100億円でも総資産が1000億円あれば純資産は900億円です。負債が50億でも総資産が70億円であれば、純資産は20億円です。負債自体は前者のほうが多いものの、純資産は前者のほうが多く、後者のほうが負債が少ないので健全である、とは言えません。

片方しか見ない場合の例を記載します。

総資産だけを見る
借方 貸方
現金
200万円
???
不動産
3800万円

総資産は4000万円です。なんだかすごそうですが、負債がわかりません。これでは本当にすごいのか不明です。

実は超過債務
借方 貸方
現金
200万円
ローン
5000万円
不動産
3800万円
純資産
▲1000万円

負債は5000万円もあり、超過債務が1000万円でした。これでは4000万円の総資産があっても最悪な状態と言えます。

実は資産家
借方 貸方
現金
200万円
ローン
500万円
不動産
3800万円
純資産
3500万円

負債はわずかに500万円です。純資産は3500万円です。総資産は同じ4000万円ですが、負債を見てみるとその差は非常に大きいことが分かります。

まとめ

総資産ではなく純資産を増やすことを心がけてください。総資産が増える過程で純資産も増えれば問題ありませんが、特に不動産業界では総資産を増やして純資産を減らす購入をしている人が大半です。これは相場よりも高く購入してしまっていることに尽きます。新聞やニュースで総資産や負債など、片側だけでモノが語られているときは、必ず両方(総資産と負債)を確認して”真の姿”を確認してみてください。

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